３．さぁ　入院？
　　　　　　　　　　　　　　　
入院初日に　手術当日までの説明を聞いた。
ぽつんぽつんと　検査があるだけ。
あとは　ベッドの上で　テレビでも　見ているだけ。
主治医は　週に1回　サーッと見まわるだけ。
どんな手術になるのかの説明が聞きたい。
でも　看護婦は知らないし　執刀する医師に聞きたい。
でも　誰が執刀かするかは　わからないといっている。
主治医はナースステーションには　来ているが話しはできないらしい。
「先生は忙しい人だから」とみんなが言っていた。

私は　静かに　暗く４人部屋にいた。
主婦業から　解放。
こどもたちには　病院に来るなって伝えた。夫の見舞も必要ないって伝えた。
私は　癌の告知を受けてとても怒っていた
「なんで　私なの！！」っと　言葉が私の身体で充満していた。
夫に向かって「どうして私なのよ」って心の中で言いつづけていた。
でも　夫の前では　静かにしていた。
夫は　それなりに　心配しているようだが
私は　なぜか　夫に向けて　怒っていた。


３人の生活が始まった。
すぐに　娘が沈没。
娘は　いつも　私達家族の岐路に身体的ダメージを受けるタイプではあったが　今回は　とても深刻だった。
とても状態が悪く　寝たきり　原因不明。
夫が見るにみかねて　私へ電話。
私は　検査のあいまの外泊許可を何回もとり　帰宅。
動けない娘を車にのせて　いろいろな病院をてんてんとした。
最後についた病名は　「バセドウ病」。
まだ　中学生だというのに。
「この病気は　一生薬を飲みつづけていかなければならない。
その薬を見つけるために　適した処方を探します。
今から　いろいろな薬を試します。」
強い副作用が出る場合がありますので　用心してください。っていわれても　私は　そばには　いられないし。
それでも　病院に事情を説明して　入院患者でありながら　家にずっといることになった。
検査のある日だけ　病院へ日帰り。私の病院ベッドは　いつも空っぽ状態。

今は　私の癌のことよりも　娘のことで頭がいっぱいだった。
６軒目に尋ねた病院から　やっと　病名らしいものをもらい　どっさりの薬。
それを毎日　飲ませる。
本人は　すごくいやがった。
頭がぼーっとするし　体が一層不自由になっていった。
それでも　医師の言うなんとか数値を下げるとか上げるとかで　
「必ず飲ませること。この薬をのみつづけなくては　お嬢さんは　死んじゃいますよ」といわれているものだから　私は　無理やり飲ませていた。
ただ　医師の言葉だけを信じて。

私は　入院患者なのに　家にずっといた。
たまにの検査の日だけ　病室にもどっていた。



入院するために向かう前日
「アメリカに行ってくれないか」と私に夫は　言った。
私は　目が点になった。この人はのんきでいいなって。
「何いっているの。そんなの無理に決まっているじゃないの。私は　明日入院するのよ！どこにそんなお金があるのよ！」
「でも　僕は　病院よりも　こっちへ行ってほしい」
私は　何よ　人事ねー。もう　レールにのってしまっているのよ。私は　どうせ　死ぬのよ。って心の中で想いながら
「私は　アメリカなんて行けない。あんなに有名な人が　私なんて　見てくれるわけないじゃない」っていって　おこりながら　病院の中に入っていった。
「もう　２度とその話しはよして」と伝えた。

娘の体調が悪くて　私は　今　家にいる。
そして　今度病院へ向かう日は　もう　家には　もどらない
いよいよ手術の直前。
もう　娘が具合悪くなっても　もう　終わり。
私は　もう　どうにでもなれって気持ちだった。
なんでもいいやという気持ち。
もう　しらない　家のことなんか。と　放心していた。

なにもかもなげやりな私に
夫は　また　あの話しを切り出した。
「どうか　アメリカへ連絡だけでも　とってみてくれないか」
と。
「私は　英語しゃべれない」
「じゃぁ通訳を使って」
「そんなこと言われても」
「連絡だけとって　とれなかったらあきらめるから」と夫はいう。

私は　家にいる。
ただ　受話器を取るだけ。
　「じゃぁ電話だけ」
という約束で　ダイヤルを回した。

アメリカのオフタイムの時間だった。
電話はつながらない。
「ほーーらね。はい　終わり」

「じゃぁインターネットでやって」
「はぁー」
　私は　家にいたから　時間があった。

バーバラブレナン　って検索かけた。
出てきた。
彼女のベージが。

メール箱もあった。
メールを書いてみた。
「はい　これで終わりね。もう　いろいろいわないでよ」と夫に伝え
その日は　寝た。
こんな遠く離れた日本のいち個人に返答があるわけないでしょっていいながら。

翌朝　メールを開く。


メールが届いていた。
びっくりした。
アメリカへ行こうとしていた私たちだったけど　
　なんと　日本にもヒーラーがいるという。
そこへ連絡しなさいと書いてある。
「あなたに愛と光のエネルギーを送る」。

私は　受け取ってしまった。
愛と光のエネルギーを。

何か違うエネルギーが動きだした。

日本にいるヒーラーと連絡を取り　会いに行った。
「手術はいらなくなるかもしれないし　それでもしなくてはならない場合もある」
とヒーラーは説明した。

「私の親も　祖母も夫の両親も　皆　癌で亡くなった。このまま私が死んでもかまわない。でも　私が癌になった理由が知りたい。このまま　この流れを子どもへ伝えるわけには　いかないから」
と　ヒーラーを前に宣言している私が　そこにいた。

私は　死ぬのはかまわない　ただ　理由がしりたい。


手術前の日
夫と共に　病院へ行き　荷物をまとめて退院を選んだ。

一緒の病室にいた人たちは　あぜんとしていた。

医師は　とても　怒っていた。明日の手術がひとつ減ったことにいらいらとしていたよう。
「もっと早くに言ってほしかった。せっかくオペ室に入っていたんだからー。」
「そんなものすぐにとってしまいなさいよ！」
「そんなことしてたら　死んじゃいますよー」
「いいんですね！！私は　知りませんからね」
と私に向かって大きな声で話している。

同じ死ぬなら　やりたいことをやってから死にたいって思った。
私のまわり人達は　癌の治療に苦しんだ。
私だって　いつでも　それは　受け入れよう。
でも　いつか同じ死ぬのなら　私の直感で　やりたいことをしてからでも　それは　遅くなんかない。
だって　自分のことなのだもの。



ｐｓ．
私が病院を出ることを決めた日に　娘は　バセドウ病でもらっていたたくさんの治療薬を飲むのをやめた。
「飲んで具合が悪くなる薬は飲まなくていい。自分が飲みたくないって思っているのなら　飲むのをやめなさい」という夫のひとことで。
「もう生涯　この薬をやめることは　命とりですから」といっていた医師の顔も浮かんだが　私達は　私達の感覚を中心にして判断した。
そして　彼女は　翌日から　体調もよくなり　学校へ行けるようになった。
あれから　１年たつが　ずっと薬も飲んでいない。薬は捨てた。
体調もいたって健康である。これってどういう意味なんだろうと　家族みんなでいまだに首をかしげている。
もちろん　きつい運動もなんなくこなせる　普通の子である。

バセドウ病が消えてしまった。



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次は　いよいよ　ヒーリング生活突入…・

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