私は東京に着くまでの２時間をいつも　私か生まれ育った　環境を思い出していた。

私は今　八ヶ岳の森の中に住んでいる。
東京で生まれそだったが　私の知る東京はまだまだ森がたくさんあった。
今住んでいるところは　私の生まれそだった東京とよく似ている。

こども時代の暮らしていた国立駅を通過する電車にのりながら　電車の窓から見える風景と共に。母とおでかけをした　駅のホームも毎回見ていた。

私がこども時代に遊んだ場所もみながら。家族のこと友人のことを考えていた。　

私の受けていたセッションは　約１時間。八ヶ岳から　東京までの２時間はとても大切な時間だった。１日すべてが　ヒーリングを受けているように感じた。

セッションのあと　私が体験したこと感じたことをすべて　ノートにメモり家にもどった。

そして翌朝　東京を向かっていた。

この期間のヒーリングセッションは私が　一人で通っていたが

子ども達自身も夫自身も一緒にヒーリングを受けているという気がしていたようだ。

私が宿題をもらうと　それを帰宅したあとに　夫に伝えて２人で　どういう意味があるのかを考えたり話しあっていた。夜半すぎまで話し合うことが毎回行われた。

夫は　私がヒーリンク゛セッションから帰り　その宿題の内容を聞いて　一緒に考えることを毎回楽しみにしていた。

私達は　人ごみがきらいで　人の雑踏がいやで　都会から抜け出し　そして　森の中に住んだ。森にあこがれ　山に入った。

癌の告知をうけてからは　今の東京の雑踏を歩きながら　私は人の雑踏がここちよかった。

すべて　昔を思い出し　いごごちがよく　とても暖かかった。そして　夫と知り合う前の日々を思い出していた。東京育ちの私にとっては　八ヶ岳の中から　ヒーラーのところへ向かう道のりは　私が子ども時代に戻っていく道のりだった。

小淵沢駅から新宿まで　特急あずさにのる。私がうまれそだった　国立駅のホームを通り　高校時代に乗り換えていた　吉祥寺駅。友達と一緒にあそんだ　新宿駅。　そして　私は　港区の病院で生まれた。ヒーリングセンターは　私が生まれた病院に近かった。

はじめて　ヒーラーの所を尋ねたとき　その周辺の町並みがとてもなつかしく　「ここに前にきたことがあるような気がするし　私は　今度ここにすみたいと思う」と　ヒーラーに話したくらいである。

高校へは　赤い電車で通った。大学へは　緑の電車に乗った。

すべての風景がなつかしく　いとおしく　うれしくて　幸せの海の中にいた。

そして新宿駅の雑踏を歩いている。

「あっひさしぶり」って誰かが　学生時代からの友達が　声をかけてくるような気がして　何回も後ろをふりかえってしまっていた。

人の雑踏が　今の私にとっては　ヒーリングだった。

私は　セッション中　数々の子ども時代を思い出した。

それは　インナーチャイルドヒーリンクだった。

私は　ヒーラーから　

「自分を認めてあげなさい。」

「個にもどりなさい。」

「自分の本来の姿へもどりなさい。」

「自分の本当の目的に気づきなさい」と言われつづけた。

私には　あまりピンとくる言葉では　なかったが　私の魂が　聞いてくれていると思うと考えていた。

そして　ヒーリンクを受けながら　私の心と体は1歩1歩良い方向へ進んでいった。

正直いって　私は癌の告知をされているが　何が　癌なのか　全く自覚症状がないという状態であった。ただ　レントゲンやＭＲＩを撮ると　そこに癌が移っているというだけなのである。

何日かすぎ　ある日の午後　家で横になっていると　私の子宮が痛みはじめた・

お腹の上から　見えない手で　こなれている感じがした。

ぐるぐるとされている痛み。

まるで手術のようだった。

むりやりにべりっとはがされているような感じがした。1時間ほどその感覚が続いてそれは終了した。

子宮が軽くなっていた。

子宮の中にいる癌が膨れ上がっていたのに　その細胞が小さくなっているのを感じた。

実際腹部の張りがおさまってきていた。

また　「まだ　病み上がりだから　安静にしておくように」という声をきいた。

私は　それから数時間寝たままの状態でいた。

子宮の中で　風がとおる。

涼しい風が　こっちからもあっちからもスースーと通りぬけていくのを感じた。

すきまが　だんだんできていくような感じ。

癌のせいで膨れていた子宮が収縮していく感じ。

冷たい風。

ひんやりした風。

私の子宮の中を通りすぎていくのを感じた。

私は　イメージの中で　心療的癌の手術も終えたようだった。

光に包まれる体験もした。確実に肉体レベルでも体が変化してきていることを確信していた。

すべてが良い方向へ向かっている気がした。

翌日　ヒーラーのところへ行き

「私　きのう　癌の手術受けちゃった」

と　伝えた。

ヒーラーもその日　ハンドヒーリンクを施しているときに　子宮の変化を感じていた。

私の子宮には　怒りがあった。

その怒りは　ヒーリングにより　少しずつ癒されていった。

私達夫婦はいろいろな宿題をこなしていた。

一つだけ　乗り越えることのできないことがあった。

それは

「みんなに　私は癌ですと伝えなさい。親戚中に　ひとりでも多くの人へ　そして　すべての愛を集めなさい。」

というメッセージだった。

初めてセッションを受けたときには　

「自分の子どもたちに　癌であるということを知らせなさい」

と言われた。知らせたくなかった。でも　私は　その夜　家に帰り　話しをした。

そして　「今　西洋医学ではなくて　ヒーリングで直してもらおうかなと思っている」ということを伝えた。

二人の子どもはとてもびっくりとしていた。

でも　娘は

「やっぱりね。なんかおかしいとおもってた」

と最近の私の行動に不安を募らせていたようだった。

息子は　

「でもなおるんでしょ」

と言いながら　2階の自分の部屋へすぐに行ってしまった。

「ああ　伝えてしまった　とうとう」。

それから　私は　母親が癌になったことを知った子ども達の悲しみを拾おうとして探した。

でも　見つからなかった。

逆に　子ども達は　私の心を軽くしてくれた。

私が　癌になったという話を　子どもに告げた瞬間　私の心は　軽くなった。

夫は　私が子どもたちへ口止めしていることには　前から　反対していた。

「ほーーらね」

と私が伝えたあとに　わかったような顔をして言った。

確かに　本当だ。伝えてよかった。そして　私は子ども達から愛をもらえるようになった。

でも

「親戚中にしらせるなんて。私は　癌なのに。そんなこといえない。」　

子どもに伝えるだけでものすごいエネルギーを使った。

「それは　とても無理」

私は　そう思っていた。

夫も同じように考えていた。

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　6.ヒーリングセンター通い �A